honey blood
走って逃げた図書室。



紫にバレないように屋上の階段をあがった。



屋上には鍵がかかってて行けなくて…。



この街に来てからいいことなんかない。



二葉と友達になれたくらいで…。



なんか疲れてきたかも…。



ガラにもなく涙が溢れて、しゃがみ込んで泣いた。



しばらく泣いてると、階段をあがる足音に気付き、身を潜めた。



授業サボってるわけだから先生だったら怒られる気がする…。



なのに予想してた相手とは違って、現れたのは眉間にシワを寄せた紫。



なんでバレたの!?



どんな仕打ちが待ってるんだろうと思ったのに、めんどくさそうな顔して頭を掻いた紫は、なにも言わずにあたしの隣に座った…。



逆に気味悪い…。



「俺のせい…?」

「へっ?」

「お前が今泣いてんの」

「そ、そうだよ…。もう…わけわかんない!!ヴァンパイアってなに!?あたし…なにも悪いことしてないのにっ…」



なんでこんな気持ちになってるんだろう…。



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