honey blood
両親が離婚して、それであたしを引き取るのを両方拒んで…。



学費と仕送りだけの関係になってて、あげく、こんな変な学校に入れられるし…。



横にいるコイツは最強におかしいし、人間じゃないし…。



珍しくできた友達もハーフヴァンパイアの彼女で理解不能だし、なんだか頭、爆発しそう…。



この涙を全部紫のせいにしてるのは、八つ当たりかもしれない…。



「涙まで甘い匂いなのな」

「はい?」

「涙はしょっぱいもんじゃね?」



そう言った紫はあたしの考えなんか無視で、頬に伝う涙をペロッと舐めた。



その後に笑った顔は、今まで見てた悪人顔じゃなくて、本当の笑顔のような気がして。



なぜかドキドキした。



「甘っ…うまいからもっと泣け…」

「や、ヤダっ…もう…泣かなっ…うぅぅっ…」

「クククッ…ブサイク…」



『好きなだけ泣いていい』って言われてる気がしたのは、ただのあたしのエゴかもしれない。



だけど涙が止まらなくて、ただ泣き続けた。



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