honey blood
後ろから噛みつかれた…。



紫が見えないのはイヤだって、知ってるはずなのに…。



いつもは頭を撫でてくれる手もない。



これじゃあただのエサ…。



また涙が溢れた。



「もう…やめて…」

「まだだ」

「なんだか気持ち悪くなってきたから…」

「その血が足りねぇ体で逃げられると思うなよ」



わざとだ…。



ひどいよ紫…。



紫のせいで貧血気味になってしまったあたしは次の日もベッドの上だった。



紫なんて…嫌いだよ。



大嫌いだ。



「蜜様、本日はこれで失礼しますので」

「お疲れさま…」

「もう少しの辛抱です…」

「気休めは聞きたくないよ…」



一生このままかも。



紫は有言実行。



そんな男だ…。



「寝てんのか?」



帰ってきた紫に気づかれたくなくて、寝たふりを決め込んだ。



今は話したくないから。



そばに座った紫はあたしに布団をかけ直し、深いため息…。



「間違ってるよな…、俺のやってること…」



それだけ言って髪にキスをした。



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