honey blood
このご時世に食べ物に釣られるバカだってこと。



『お菓子あげるからこっちにおいで』なんて言われたら、怪しいヤツにもついて行きそうだ。



「寮のオバサンも夏休み欲しいだろうし」

「じゃあ決まり」

「メシ確保~!!」



こうしてるとあの涙がウソだったんじゃないかと思う…。



いつもはこんなにバカでクソ女で、凶暴なゴリラなのに…。



弱々しく泣いた蜜が頭の中から出て行かない。



「じゃあ今年は僕と旅行行かないの!?」

「あっ、コイツ込みなら行く…」

「相当ご執心みたいだね…」



だから違うって。



俺はコイツの血がっ…。



言い訳もめんどくせぇからなんだっていいや…。



「紫君と蜜ちゃん、ラブラブだね~」

「二葉の目は相変わらず腐ってんだな」

「雪丸君、あたしも旅行に行きたいよぉ~」



なんだか周りがにぎやかになった気がする。



もしかして、俺が変わってるのかもしれない。



そうならきっと、俺を変えたのはコイツだと思う。



最近、少し生きていくのが楽しくなった。



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