秘密
 

SIDE.門田悠平
 



 
不覚にも、恥ずかしい事を言ってしまったなと悠平は思う。
本当は弁当を差し出した珠子にすごく惹かれた気がしたのだ。
 

タマはただのカムフラージュなのに?
弁当を作ってきてくれだなんて。
 

悠平の心に少し揺れが生じた。
 

 
「門田君、食べられないものはある?アレルギーがあるとか、味付けとか」
 

「えっと、アレルギーはないかな。嫌いなもの……タマネギが食べられないかも」
 

「タマネギ……?」
 

「タ、タマネギ……」
 

 
その瞬間、珠子の瞳に好奇心の色が見えたのを悠平は見逃さなかった。
 

 
「っ……」
 

「なっ、何だよ何笑ってんだよっ!」
 

「門田君可愛いっ……」
 

「なっ!可愛いくねえ!」
 

 
それから珠子は当分笑うのを堪えていた。
 

 
「しつこいぞっ」
 

「ごめんごめん」
 

 
だんだんと恥ずかしくなってきた悠平はふいと外方を向いた。
 

 
「じゃあ門田君、好きなものは?」
 

「たっ、卵焼き、甘いのっ!」
 

「!」
 

「あ」
 

 
気が付けばまた珠子が笑っている。
悠平はまた顔が赤くなるのを自覚した。
 

 
< 13 / 114 >

この作品をシェア

pagetop