秘密
SIDE.門田悠平
不覚にも、恥ずかしい事を言ってしまったなと悠平は思う。
本当は弁当を差し出した珠子にすごく惹かれた気がしたのだ。
タマはただのカムフラージュなのに?
弁当を作ってきてくれだなんて。
悠平の心に少し揺れが生じた。
「門田君、食べられないものはある?アレルギーがあるとか、味付けとか」
「えっと、アレルギーはないかな。嫌いなもの……タマネギが食べられないかも」
「タマネギ……?」
「タ、タマネギ……」
その瞬間、珠子の瞳に好奇心の色が見えたのを悠平は見逃さなかった。
「っ……」
「なっ、何だよ何笑ってんだよっ!」
「門田君可愛いっ……」
「なっ!可愛いくねえ!」
それから珠子は当分笑うのを堪えていた。
「しつこいぞっ」
「ごめんごめん」
だんだんと恥ずかしくなってきた悠平はふいと外方を向いた。
「じゃあ門田君、好きなものは?」
「たっ、卵焼き、甘いのっ!」
「!」
「あ」
気が付けばまた珠子が笑っている。
悠平はまた顔が赤くなるのを自覚した。