秘密
 

SIDE.門田悠平
 



 
なんなんだアイツは、タマのくせにっ。
 

悠平は学校の裏門からこっそりと出た。
空を見上げながらコンビニに向かう。
 

 
「女みたい、か」
 

 
悠平は、自分の女々しいところが珠子によってさらけ出されたと思った。
なんだか悔しい気持ちになった。
 

その頃の珠子は、休憩時間が終わる直前に教室へ到着していた。
珠子が来るのを待っていたといわんばかりに、美百合やクラスの女子達が珠子の側に集まってきた。
 

 
「なっなに、どうしたのよ」
 

「珠子、美百合に聞いたわよ。早速旦那とお弁当だって?」
 

「いやっそれはあの」
 

「いいなあ、門田君が彼氏だなんて」
 

「えっ、門田君もてるの?」
 

「知らないの?影ではすごく人気だよ」
 

「そうなん、だ。知らなかった」
 

 
珠子の側で美百合はにこにことその様子を見守っている。
 

 
「あ」
 

 
悠平はある人を見つけた。
 

 
「先生、何してんの」
 

「ああ、門田君」
 

 
コンビニに入った悠平は少し上機嫌な様子で雨宮好美に近付いていった。
好美は400円程度の弁当を持っていた。
 

 
「先生今から昼メシ?」
 

「うん、って門田君またさぼりなの?」
 

「うん、俺も今から」
 

「いつもコンビニのお弁当だったっけ」
 

「え」
 

 
悠平の心に一瞬、珠子の顔が浮かんだ。
 

 
「うん、大抵コンビニかな」
 

「そうだよね、一人暮らしだもんね」
 

 
実際、好美は何度か悠平の部屋に来たことがある。
 

 
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