秘密
SIDE.雨宮好美
彼女ができたと悠平に告知された好美は、とてつもない嫉妬を覚えた。
それと同時に切ない哀しみも生まれた。
貴方は私を好きだと言った。
関係を持ったのは、私を好きだから。
そう言ったのに。
「明日ね、彼女が俺に弁当作ってきてくれるんだってさ」
「……」
私が今言おうとした言葉。
『栄養が偏るわよ、私がお弁当作ってきてあげるから』
好美は鼓動が速くなることを止められずにいた。
悠平の恥ずかしいようでも嬉しそうな顔を見ると心が切なくなった。
「先生」
「えっ、何?」
「あ、聞いてなかっただろう」
「ああ、ごめんごめん」
好美は顔が引きつるのを感じながら、なんとか笑ってみせた。
それから好美は悠平と別れ、駐車した車に乗り込んだ。
私は結婚を控える身だというのにどうして、いつの間にそんなに門田君のことを好きになっていたの。
好美はハンドルを強く握り締めた。