秘密
 

SIDE.雨宮好美
 



 
門田君にとっても、今野珠子という門田君の彼女にとっても、ただただ予想外だったはず。
 

珠子が悠平の姿を見つけたとき、悠平の手にはもう違う包みの弁当があった。
 

 
「あれ」
 

「あ」
 

 
珠子はその瞬間頭が真っ白になり、何も考えられなくなった。
好美はただ、悠平の10メートルほど背後から珠子の表情の様子を伺っていた。
 

そのお弁当は私が作ったのよ。
悪いけど、門田君は貴女のことよりも私のことを好きなの。
それが当たり前なの。
 

だから私のお弁当と貴女のお弁当では、私のお弁当の方を食べて当たり前。
それが当たり前なのよ。
愚かな今野珠子。
 

もちろん、好美は珠子だけでなく悠平を困らせることになると解っていた。
けれど、この嫉妬は止められなかった。
 

最低だわ、私。
自覚はあった。
 

 
< 18 / 114 >

この作品をシェア

pagetop