秘密
 

SIDE.雨宮好美
 



 
あの瞬間に、宿直室にいた雨宮好美は血の気が引くのを感じた。
いつも帰り際に悠平を呼び出しているのだ。
 

今野珠子に見られた!
今まで秘密にしてきたこの事実を。
知られるはずがないと思っていたのに。
 

 
「門田君、じゃあ私今日はこれで」
 

 
どうすればいいのか判らず、とにかく好美は悠平から離れた。
 

 
「ああ……」
 

 
私は門田君と会う。
毎日ここで、宿直室で会う。
 

それはもう今となっては当たり前のこと。
邪魔をされるのだろうか。
今野珠子は一体どんな反応をしてくるのだろう。
 

 
「また連絡するわね」
 

「うん、先生」
 

 
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