秘密
 

SIDE.今野珠子
 



 
悠平は珠子にこう言った。
 

 
「カムフラージュも兼ねて。お前は俺の女であるフリをすればいい」
 

「……は?」
 

 
珠子は雨宮好美との事実よりも驚いた。
 

貴方はあの雨宮先生と付き合っているんじゃないの?
急にそんなことを言われたあたしはどうすればいいの。
 

 
「大したことじゃないだろう、俺が雨宮と関係があるのはお前の存在で噂になることはない」
 

「だからってどうして」
 

「わざわざお前をつなぎ止めておくのは、一応監視していないと危ないだろう?」
 

 
その自分勝手さは何?
あたしがどうして貴方の彼女のフリをしなければならないの?
意味が解らない。
 

珠子はひどい嫌悪感に包まれた。
まさか悠平がこんな人だったなんて。
 

今野珠子
門田悠平
雨宮好美
いずれにとってもこの事態は予想外のできごとだった。
 

あたしの気持ちはどうなるの?
あたしは門田悠平の彼女になるの?
彼女のフリをすることになるの?
 

 
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