宛て先のない、
☆Darling
「好きです、付き合ってください!」
「ごめんなさい、無理です。」
ある学校の体育館裏。いわゆる『告白スポット』と言われるそこで、とある男子生徒がこれまたとある女子生徒に告白し、そして今まさに振られたところでした。ところが、男子生徒のほうはこのくらいでは引き下がりません。焦りを必死に隠しつつ、食い下がります。
「えっ、俺のこと知らない?あの、一応俺留学とかしてるし、そ、そこそこ有名…なんだけど…あの、最初お試しとかでいいし!」
「い、いいえ、そういう問題ではなくて。私、」
女子生徒は目を細めると、微笑んで、けれど少し悲しそうな顔で続けました。
「ずっと好きな人がいるんです。」
女子生徒こと、長尾由宇は『ごめんなさい』と頭をぺこりと下げました。男子生徒こと大原圭一の17年間の人生初めての失恋が決定した瞬間でした。