宛て先のない、
回想し終わって、横を見ると、和則は眉間に深いしわを刻んで颯太はピューっと口笛を吹いていた。ん?
「はいはい長ーい馴れ初め話ありがとう。聞きたくもないがねー。」
「え?!読心?!」
「口から出てたよぉー、ひゅー♪」
うわあ…もう蒸しパンになりたい…!!おおおおおお…。
「なぁ圭一。何事もしつこいのが専売特許のお前は1回振られたくらいで諦めるとは思わんが、一応聞くぞ。…長尾さんのことは諦めるのか?」
和則がいやらしい笑みを浮かべて俺に聞いてきた。『何事もしつこい』っていうのは気に食わんが、だがしかし!
「諦める訳ないだろ!」
1年近くも片思いしたんだ!諦めてたまるか、意地でも振り向かせてみせる!と思いっきり宣言してやった。どや顔で和と颯太、二人の顔を見ると、二人はこれまたいやらしい笑顔していた。颯太がこう言った。
「じゃあ、そんな圭一は、俺の代わりに文化祭委員やってくれるよな!な!」
「はあ?!何でそんな面倒なこと俺が…!」
「えー、隣のクラスの委員長尾さんだから言ってあげたのにー…。俺優しいからー。」
うっ、くそおおおお…っ!!こいつーーーーー!!
「分かった!!」
(…せっかくだから絶対長尾さんと仲良くなってやる…!)