涙のあとに――
……ケータイを、閉じる。


「…………」


電車の中。私は、普通そうな顔をしながらも、泣き叫びたい衝動にかられていた。

『別に、男友達の一人の意見じゃないか。将夜は違うかもしれない』

『そんなこと、思ってないかも』

そうやって一つ一つ考えていく私は、現実が受け入れられずに逃げているだけで。

「……っ」

男友達に返信することも忘れ、私はケータイを手の中で遊ばせながら窓を見た。
大きな電車の窓に映っているのは、泣きそうな、不安そうな……自分。




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