電話越しの君へ
帰り道、手を繋ぎながら私たちは歩いた。
「……ねぇ、杉本」
気になっていたことを
私は声に出す。
「なんでずっと、私に好きな子がいるって思わせてたの?」
その問に杉本は少し考えた後で答えた。
「……お前が最初に聞いたからじゃん?」
「何を?」
「俺に好きな奴はいるかって、聞いてきたのお前じゃん」
「あれ、そーだったっけ?」
「そうだっつの。
だから俺、そんときもお前ってゆー好きな奴がいたから、いるって答えて」
そんで綾瀬が勝手に勘違いしただけだろ、と彼は言った。
「え、じゃ、じゃあ…」
私がそんとき勘違いしなきゃ、こんな風にはならなかった!?
「……なんでこんな回りくどくなったんだろな。」
呆れたように彼は呟いて、私も自分に少し呆れた。
「………あ、でもさ。」
少しだけ意地悪く微笑んで彼は私の耳に口を寄せる。
そして私は次の杉本の言葉に目を見開いた。