電話越しの君へ
「……なんだよ」
「……これからも、
たまに私に電話をして欲しいの」
彼が語ってた好きな子は、私だった。
でもそれを別な子だと思って聞いていた私は、なんてもったいないことをしていたのだろう。
「……もっかい、杉本が私のことを愛しそうに話してくれるの、聞きたいから」
すると一瞬驚いた顔をしたあと、彼は微笑んで言った。
「……毎日でも、してやるよ」
そうして彼に抱きしめられながら
ゆっくりと私は目を閉じる。
目の前の景色や空気を
瞳の中に閉じ込めるように。
END.