追うんだ!隼人!
角砂糖を地面に落とすと大量のアリが群がってくる。
真上から見るパドックはまるで"それ"と同じだった。
あっという間にパドックの周りを5000人の人々が囲う。
徐々に熱を帯びてきた。
中世ヨーロッパ風の城をイメージした5階建ての白いスタンドがパドックの脇にそびえ立ち、そこからは更に大勢の観客が見下ろしていた。
「7番はマイナス10だぜ…」
パドックにいる人々が新聞片手に一斉に馬の見定めに入る。
とにかく7番のゼッケンをつけたひと際小さい馬に誰もが注目をしていた。
「あれが、本当にサラブレットか…?」
その馬は明らかに他のサラブレットよりも小さかった。