【短】同窓会―episode 1―
「…………蒼、
蒼っ!」
柿崎が心配そうに俺をみた。
「どうした?
目、真っ赤だし…泣いてんのか?」
心配そうに俺を見た柿崎に、俺は笑顔を見せた。
「なんでもないよ。」
「本当に?」
「本当。
それよりお前の酔っ払い妻を心配しろ。」
そう言われて柿崎は、三嶋が大暴走しているのを見て、慌ててすっ飛んでった。
それがどうしようもなく面白かった。
「ねーねー水城、覚えてる?
学祭のとき、千景が顔面からずっこけたの!」
俺の近くにいた綾部が笑いながら佐倉を指差す。
「あ…あや、なんでそんなことまで覚えてんのよ…。」
顔を真っ赤にして佐倉は俯いた。
懐かしい、中学時代。
「つーかあの時の仕掛人、未葵だからね。」
綾部がニヤッと笑った。
「もう、未葵のやつ。」
佐倉はそう言ってぐいっとビールを飲んだ。
みんな、未葵を、覚えている。思い出にしている。
なぁ、未葵。
15年たって、久しぶりに会えて、本当によかった。
お前が好きで、本当によかった。
急に気持ちがすっきりした気がした。