【短】同窓会―episode 1―
「もう、いいです、あげませんからね!」
そう言ってサッサと歩き始める嶋津先生。
意外と意地っ張り。
今日は嶋津先生の意外な一面ばかりが見れる。
「ありがとう。
元気になりました。」
嶋津先生の後ろ姿に向かって、俺は言った。
「……ずるいです。
水城先生は……。」
嶋津先生はそう言って戻ってきた。
「へ?」
「いっつも、ずるいです。
優しくて、生徒にも好かれて…私とは正反対。」
「優しいっつったら嶋津先生もじゃないですか。」
そう言うと、嶋津先生は、顔を真っ赤にした。
「もう、ずるい!」
照れているんだかよくわからない表情をしている嶋津先生。
「あ…」
…何故か、とても未葵に似ていた。
「…嶋津先生も、ずるいですよ。」
「え?」
「なんでもない。」
俺は足早に歩く。
慌てて嶋津先生がついてくる。
未来は、思っていたより、近いのかもしれない。
振り返ると、嶋津先生は笑った。
未葵によく似た笑顔だった。
…完…