【短】同窓会―episode 1―
「……せい。
水城先生!」
「…えっ、あ、はい?」
目の前には隣のクラスの嶋津先生が仁王立ちして立っていた。
「もう、なに寝てるんですか!
もうすぐ移動の時間ですよ!」
嶋津先生はしきりに時計を見ながら早口に言った。
「あ…すみません。」
俺と嶋津先生は同期で、しかも同い年なのに、なんだか物凄く距離を感じる。
嶋津先生は、しっかり者で。
俺はうっかり者。
水と油ってところか。
「そういえば水城先生。
明後日空いてます?」
「え…明後日?」
嶋津先生にこんなことを聞かれたのは初めてだったので、俺は動揺して声が裏返ってしまった。
「………あ、同窓会。
中学の同窓会、あります…。」
「あ、そうなんだ。
じゃあ、いいです。」
少し怪訝な表情をした嶋津先生は、そう言って足早に行ってしまった。
確かに、このタイミングで同窓会って、あんま想定しないもんなぁ。
嶋津先生に理由付けして出かけたくないように思わせてしまった。
事実、同窓会はあるのだが。
俺は小さな葉書を見て、深くため息をついた。