【短】同窓会―episode 1―
“白館第二中学校
第32期生 3年3組
同窓会のお知らせ”
「もう15年もたつなぁ…。」
懐かしい響きに、1人葉書を見ながら顔をほころばせる。
懐かしい中学校の同級生に会うのは、楽しみなのだが、
あの思い出に、古傷が疼く。
「お前がいなくなって、もう15年だな…」
忘れはしない、あいつの顔が、脳裏を過ぎる。
泣き虫なのに、そのくせ強がりで、最期まで俺に涙なんか見せなかった。
『蒼ちゃんには、笑顔のあたしを覚えてて欲しい。』
そう言ってみせた寂しげな笑顔も、
みんなといて楽しそうな笑顔も、
辛くて泣きそうなのに見せた笑顔も、
全部全部、忘れるわけがなかった。
「水城先生~!」
袋いっぱいにお土産を持って、笑顔でやって来る生徒達。
「見て見て~八ツ橋!
先生はなんか買った~?」
楽しそうに笑う生徒達。
「…先生はなぁ、抹茶オレを飲んでたから、お土産なんか買わないんだぞ。」
「うわー、先生ずるいっ!」
「そんなことより、お前らが一番着くの遅かったぞ。
早く新幹線乗って。」
「はぁーい。
あーあ、修学旅行もこれで終わりかぁ…。」
後ろ髪を引かれるような思いで、新幹線に乗る生徒達。
最後に俺が乗ると、ゆっくりと新幹線は動き出す。