【短】同窓会―episode 1―
柿崎は俺が来てそうそう三嶋との結婚生活を楽しそうに話した。
「あいつ本当料理下手くそでさ~
俺が料理担当なんだよな~
……………
そういえばお前、結婚しねーの?
彼女とかいねーの?」
不意打ちの質問に、俺は
「いねー。」
と即答した。
運ばれてきた生ビールを勢いよく飲む。
「寂しいやつだなぁ。
お前なら結構女寄ってくんだろ?
いい奴いないわけ?」
「余計なお世話。」
柿崎は、はいはいと言ってまた豪快に笑った。
「お前は、やっぱり、一途だよ。
篠田が忘れられないんだ、そうだろ?」
篠田。
その言葉にビクッと肩を震わす。
「………。」
「気持ちは分かる。
でも、蒼。
もう15年たったんだ。
篠田は二度と帰って来ない。」
さっきまで豪快に笑っていた柿崎が、急に真顔でそう言った。
「わかってるよ……。」
脳裏に再び現れた未葵が、笑っている…。
『蒼ちゃん。忘れないで。』
…泣かないでくれ、未葵………。
「蒼ちゃん。」
………え?