【短】同窓会―episode 1―
確かに今、未葵の声が聞こえた。
「蒼ちゃん、てば。」
俺が勢いよく振り向くと、そこには花柄のワンピースを着た未葵が立っていた。
「み……さき?」
「やっと気付いたの、蒼ちゃん。」
中学生のままの未葵が、俺を見て笑っていた。
そんな俺を見て柿崎が目を見開いた。
「…お前、しっかりしろ!
もう篠田はいない、現実を見ろ!」
………は?
なに言ってんの?
未葵は、今ちゃんと、ここに………
「ごめんね、蒼ちゃんにしか見えないんだよ。」
未葵がそう言って俺の隣に座った。
「は……?」
「今日同窓会だから、どうしても来ちゃった。
蒼ちゃんにも、会いたかったよ。」
未葵はそう言って笑った。
俺はそっと未葵に触れようとしたけど、虚しく空をきるだけだった。
…どうなっている?
「あたしは、もう死んだでしょう、蒼ちゃん。」
そう言って悲しげに笑う未葵。
どうなってるんだ。
未葵は、未葵だろ…
死んだのに、どうして?