【短】同窓会―episode 1―


「………蒼ちゃん、先生になったんだってね。
昔からのあたしの夢、叶えてくれたんだ。」


「………。」


今にも泣きそうな未葵。

確かに未葵は、今、ここにいる…のに。


誰も、未葵に気付かない。

未葵は過去のまま。


「どうして…。」


やっと出た言葉に、未葵は笑った。


「もう15年。
あたしが死んでからも、蒼ちゃんはあたしを思ってくれてた…。

でも、もういいよ。」


「え…?」


未葵は、泣いていた。


「私、嬉しかった…。
蒼ちゃんに、覚えてもらってて…。」


「当たり前だろ…。」


なんだか俺も泣きそうだ。


「でも…でもね。
私…苦しかった。
私は絶対、蒼ちゃんを幸せには出来ないんだなって…。」


「…………。」



「お願い、蒼ちゃん。
人を好きになって。
私を、わ…すれて。」


そう言って未葵は、泣き崩れた。


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