空白の時間=友情>愛情
変身
電車に乗り込んだ賢二は、携帯電話の電源を消した。
そして、電話番号を特定するICカードを抜き取り、静かに折った。
これで自分は自分でなくなる―。
東京駅に降り立ち、地下鉄に乗り換えた賢二は隆一の住むマンションへとやってきた。
「今日はうちに泊まれ」
賢二は黙ってうなずいた。
隆一は、戸籍を売買するブラックマーケットから賢二の新しい戸籍を入手していた。
「お前は今日からこの人になるんだ。さすがに同い年は無理だったが…」
賢二に戸籍謄本を渡し、隆一は言った。
「20歳か…。一気に年取っちゃったな(笑)」
「天涯孤独で年齢の若い人間なんて相当難しい注文だったぞ…」
「贅沢は言わないよ」
「戻りたくなったら、いつでも戻って来いよ。しばらくはここに居てもいいんだぞ」
「明日の朝には出ていくよ…。兄さん、本当にありがとう」
「オレとお前が兄弟であることには変わりないんだからな。いつでも連絡して来いよ」
「ありがとう」
しかし翌朝、隆一のマンションを出た賢二が二度と隆一に連絡を取ることはなかった―。
そして、電話番号を特定するICカードを抜き取り、静かに折った。
これで自分は自分でなくなる―。
東京駅に降り立ち、地下鉄に乗り換えた賢二は隆一の住むマンションへとやってきた。
「今日はうちに泊まれ」
賢二は黙ってうなずいた。
隆一は、戸籍を売買するブラックマーケットから賢二の新しい戸籍を入手していた。
「お前は今日からこの人になるんだ。さすがに同い年は無理だったが…」
賢二に戸籍謄本を渡し、隆一は言った。
「20歳か…。一気に年取っちゃったな(笑)」
「天涯孤独で年齢の若い人間なんて相当難しい注文だったぞ…」
「贅沢は言わないよ」
「戻りたくなったら、いつでも戻って来いよ。しばらくはここに居てもいいんだぞ」
「明日の朝には出ていくよ…。兄さん、本当にありがとう」
「オレとお前が兄弟であることには変わりないんだからな。いつでも連絡して来いよ」
「ありがとう」
しかし翌朝、隆一のマンションを出た賢二が二度と隆一に連絡を取ることはなかった―。