クリスタルライン







たどり着いた場所は、【キラ海】だった。


キラ海とは、私とリョウでつけた海の名前。


家の近くにあるから、小さい頃によく2人で遊びに来ていた。


冬の晴れた日の早朝に来て、水面を見るとキラキラと光っていてすごく綺麗だった。


だから、キラ海と名付けた。














綺麗だなぁ。


今日も水面が、宝石のように光ってる。


私は階段に腰掛けた。


平日の朝だからか、周りには私以外誰もいなかった。


聞こえるのは……


波の音と、たまに後ろの道路を走り去っていく車の音


そして……風の音だけ。


私は、瞳を閉じた。


……不思議。


こうしていると、まるで自分が知らない世界にいるような気がしてくる。







――……


『リョウ、見てー!この貝、形が可愛い』


『見ろよ。俺デカイの見つけたぞ』


『……わぁ、見てー。水面がキラキラしてるよ』



……――


ザブーン

ザブーン…



波の音と共に、初めてリョウとここに来た日のことを思い出していた。


あれは、小学校2年生くらいの時だったかな。


脳裏に走り回っている2人が見えて。


瞳を開けると、そこには本当に幼い頃の2人が見えてしまうかのように、鮮明に思い出された。








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