クリスタルライン
あと5日で、クリスマスイブだ。
街は、もういよいよクリスマスムードに包まれている。
だけど、私の気持ちはあの日で止まったまま。
今年のクリスマスも、あなたを想って過ごすだろう。
リョウ……、
あなたはそれを許してくれるよね。
―――……
――…
「ジングルベール、ジングルベール鈴がなる~♪おっはよー、ハニー!」
はぃ?
ハニーって何?
私は、都谷杏里(つがや・あんり)だし!とマフラーを外しながら思う。
朝から私に向かってハイテンションで、ありえない言葉を言ってくるクラスメート。
彼は、幸田涼太(こうだ・りょうた)。
どうしてコイツの名前に、*リョウ*がついているのかと本気で悩んだ時もあった。
「私はハニーなんていう名前じゃありません。……おはよう」
ぶっきらぼうに言い返してやった。
「つれないなぁ。ハニー」
また言ってるよ。……ありえない。
「なぁ、この前の考えてくれた?」
私に顔を近づけ、聞いてくる幸田。
私は、近い……と思って顔をそらす。
そして
「前も言ったけど、無理」
と、キッパリと言った。