クリスタルライン
幸田から、クリスマスイブに誘われているのだ。
去年のクリスマスから誘われていて、去年は断れたけど…
今年はとてもしぶといのだ。
「何度言われても無理だから。分かった?っていうか、分かってください」
「いーやっ。何度でも言うね。お前がオッケーしてくれるまで。ぜってぇに引き下がらねぇ!」
気合十分ご結構。
ほんっとにしつこい!
そう思い、私は唇を噛み締めた。
「都谷、俺とクリスマスイブにデー・・」
「もうやめてっ!!」
デートなんて……
リョウ以外の人とデートするなんて、私には考えられないの。
だから、幸田の言葉をさえぎった。
その声が大きかったのか、ざわついていた教室が急に静かになった。
みんなの視線が集まっているのが分かる。
黙っている私に、幸田が口を開いた。
「お前さ、いつまで想い続けんだよ?またどーせアイツだろ?あの、幼馴染のリョウとかいう奴。もう、そいつはこの世にいないんだろ?なら、もうそいつのことなんて綺麗さっぱり忘れようぜ。それでさ、今生きてる奴のことを大切に思えよ」
「また……?どうせ??綺麗さっぱり忘れろ?……何、その言い方」
こんな言葉、繰り返すだけで吐き気がしてくる。
頭が痛くて、胸が苦しい。
怒りと共に、涙も込み上げてきた。