中心のアイツ
 あの日、逃げてからそれに触れないようにしている毎日に異変が起きた。

 いつもの様に登校していたら女の子達に声を掛けられた。

「貴女が、松嶋美柚さん?」

強く尖った声で、ハッキリ言われた。

「そう、ですけど……」

正直びっくりして、返事が小さくなってしまった。
 私に話しかけるのは、限られた人だけだったから。

私のその様子を見て怯えたと思ったのか、さっきよりも強気で

「昼休み、屋上に来なさい!!」

そう吐き捨てていった。

 彼女の言い方からして、良い事ではない事は確かだ。

いじめか?裏庭でやらないのかな? 屋上か……
 いっそ中庭でやればいいのに、とか思っちゃう。

めんどくさいな……

どうせ、啓汰君がらみだろう。
 上等だ。請けてたってやる。あそこに比べれば、軽いものだ。

啓汰君に、完全に嫌わさせてあげるよ。

 フフッと黒い笑みを浮かばせて、昼休みを待った。
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