中心のアイツ
言われたその日、〝警告〟を無視し、見せ付けるように帰った翌日。

 ソレは始まった。

最初は靴箱に脅迫状、ソレが続いた後はカミソリになって靴が消えるようになった。
 そして毎日昼休みに呼び出され、悪口から暴力に変わった。
そのうちソレは、教室で行われるようになった。

 繭にも啓汰君にも知らせず、いつも道理に振舞った。いつも道理、一緒に帰った。
彼女達はバレルのを嫌がっていた。
だから啓汰君の親友の喜一君の彼女である繭には、手が出せなかったから。
    知られることは、無かった。


そんな日が続いたある日、彼が私の異変に気づいた。

「何か最近、怪我多くない?」
「そう?」

誰かは知らないけど、情報は回ったらしい。
 第一段階はクリア、かな?

そう思っていたら、隣で何かを決めたように息を吸う彼がいた。
 どうしたの? そう言おうとした時

「お前、苛められてんだろ?」

ビクッと体が揺れた。気づかせたのは自分なのに、こんなにも心にグサッて来るなんて思わなかった。
 改めて彼の大事さに気づきながら、肯定する。

そうしたら、バツの悪い顔になって

「わりぃ、気づいてやれなくて…」

そう謝ってくれた。後ろめたい事があるからか、ちょっと罪悪感を感じる。

「ばれちゃったんなら仕方ないんだけど、大丈夫何とかする」
「何とかって…」

大丈夫って言ったのに、心配そうな彼を見て優しいんだなって思った。
 そして私は決意する。
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