中心のアイツ
「大丈夫? 立花さん出て行ったけど……」

休み時間になって、心配そうに声をかけてきたのは啓汰君だった。

「何にもなかったよ。気になる事があったから訊こうとしただけなんだけど……?」

「気になる事って? 何々~? 何の話?」

「ま、繭……」

口を挟んできたのは繭だった。
 苛められてた事を知ったときの繭の怒りようは凄かったけど、ホントの私も受け入れてくれた。

「あ~。繭は知らないけど、私が反撃したときに立花さん震えてたんだよね。前と同じ、とか言ってたから明に調べさせたものが正しいか聞きたかったんだけど……」

そう言ったら、目をパチパチさせている二人。可愛いな~と頭をグリグリなでたら、キョトンとした顔をされた。可愛すぎです。

「明さんってナニモノ?」

「そもそも、松嶋って吸収されたよね? 会社なら。どこのコネで調べたのかな?」

そんな事を言うので、アレっと思った。
 言ってなかったけ? と、前置きをしてから

「私、今は松嶋だけどホントは霧岬なの。霧岬実柚」

そう言って、二人を見ると固まっていた。そして一拍おいてから

「「エッ。えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」」

クラスのみんながこっちを見たので、軽くあしらいながら二人に落ち着くように言った。

「そ、そんなの聴いてない!!」

「霧岬グループっていえば、ブラウニング・コーポレーションに次ぐ大企業だよ!!」

へぇ……そうなのか。

「実柚は興味なさ過ぎ」

啓汰君はそう言った。それに気づいた繭はニヤニヤ。その後に気づいた私もニヤニヤ。
 な、何だよ…とそう うろたえながら言うので

「初めて呼び捨てで呼んだね♪」

そう言ったら顔を赤くしたので、チャイムが鳴るまでからかっていた。
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