中心のアイツ
後ろが気になって落ち着かない。
 たまに振り返ると、藍ちゃんの話も聴かずに話しているのが分かる。

あんなに楽しそうに笑って……
 初対面なのに馴れ馴れしいよっ!!
啓汰なんて顔を赤くさせちゃってさっ この浮気野郎!!

先生の話も耳に入らず、怒りで大変な表情になってたと思う。
 ―――――菜々子の顔が引きつってたから。

チャイムが鳴って飛び出そうとしたところで菜々子に止められた。

「ま、松嶋、さん。落ち着いて!!」

他人行儀に感じた私は、怒った口調のまま

「名前!!」

「えっ………」

「……名前で呼んで」

「うん」

恥らって菜々子が頷くのでこっちも恥ずかしくなってしまった。
くぅ~かわいいっ!

「菜々子可愛いっ!!」

「きゃっ」

可愛すぎるために抱きついてしまった。悲鳴なんか無視無視。可愛い方が悪い。愛でなきゃ損よっ!

じゃなくて、啓汰のところ行かなきゃっ

すでに、人が集まっているところに突っ込んで行った。

「啓汰!!」

勢いあまって、啓汰の襟元を掴んだ。
 啓汰は慌ててたけど。知るか。

そんな私を見た、転校生又は桐生美羅が慌てたように口を開いた。

「あぁぁ。やめてあげて下さい。松嶋さん!!」

何よ、良い子ぶってっ。 そう思って彼女を睨む。

「アンタには関係ないでしょ!!」

条件反射で答えたが、その後アレ? と思った。
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