中心のアイツ
「どうだった? お父さんは」

そこに母さんがやって来た。 私は表情を変えないまま、答える。

「2年で婚約者を、ダメなら見合いと」

「そう、でもよかったわね。“婚約者は見つけられない”かもしれないけど、自由が“もらえて”」

もう少しで、キレそうなところを抑えて、答える。

「そうですね。まあ、短いとは思いますが」

「まあ、あの人にも考えがあるのよ。2年楽しみなさい」

 母さんは、アイツをかばう。私より。

アイツを好きになんてなったから。

私はそれをお父さんへの裏切りだと思ってる。 

最初はあんなに抵抗したのに、今はそんな風には思えない。

 私に自由なんて無い。友達関係はずっと把握され続け、選ばれた人としか話せなかった。

 それが無いのがたった2年なんて。

それに、2年でできるわけが無い。


今の私と学校の私は・・・・・・違うのだから。


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