中心のアイツ
ある昼休み、彼女と談笑していると繭の彼氏の山辺 喜一 (やまのべ きいち)君が来た。

「ちょっと、繭かりるな?」

そう言って私から少し離れた場所に移動した。
 
 繭を盗られて暇な私は、空を見ていた。 何も変わらず綺麗な空。自由な雲。 私も綺麗な世界で、自由になりたいと強く、強く思っていた。

「ねぇ、実柚。今日暇?!」
「わっ!!」

びっくりした。いつの間にかえってきたの貴女。びっくりよ。

「どうなのよ?」
「そ、そりゃ暇だけど」
「よしっ決まり!!」
「何が?」

勝手に何か決められたけど、彼女は最後まで“秘密~”しか言わなかった。

そして放課後。
 目の前にいるのは飯坂君と山辺君。そして私の隣に繭。
・・・何?この組み合わせ

「どういう事? 説明してよ!!」

私はキャラを忘れて詰め寄った。

「怒っちゃ嫌♪ 男紹介に決まってるじゃん。 じゃ、仲良く帰ってね?」
「はい?」

一緒に? 一緒に帰る?!
 あの人気者の飯坂君と!?

「無理! 女子に恨まれる! 私みたいな子が一緒にいたら・・・」
「大丈夫だから。・・・・・・あんたらは揃いも揃って鈍感かい」
「? 何?」
「いや、じゃあ明日ね~」

何か闇の声が聞こえたが、そのまま山辺君と帰ってしまった。

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