ビター・キャラメル
「マスター、あたしもう帰りますよー。あとの掃除はそこの彼にお願いしました」
「え!?」
「おう、お疲れ。ほれキャラメル」
店長がそう言って投げた小さい包み紙を片手でなんとかキャッチする。
「わーい、マスターの生キャラメルがやっぱりいちばんすき!」
「そりゃよかった」
マスターの生キャラメルは天下一品だ。キャラメル好きのあたしにはたまらない。
「ありがとうございます!さようならー」
もう片方の手に持っていたふきんは片付けるのがめんどくさくなって彼に投げつける。
これくらいやってくれなきゃ。
驚いている彼をよそにあたしは帰り支度のために裏にむかった。