ねぇ、会いたいよ
上若岳流――。
身長はあたしよりだいぶ高いくらいの
178センチ。
男としては…ふつう?
けど。
栗色のきれいに整えられた髪。
流している前髪が少し目に
かかっていてそこから見える
大きくて優しい瞳がちょっと
色っぽかったりする。
だから女子からはほんっとにモテる。
だからムカつく。(←!?)
女子にはふつう程度に接する。
でも…あたしには嫌みばっか
言ってくる昔っから
ほんとにヤなやつで…。
「おい、いつまでボケッとしてんだよ。早くしてくんねぇと俺まで遅刻になっちまうじゃんか。」
タケルがかばんを右手から左手に
意味もなく持ち変える仕草。
これはかなりお怒りのシルシ。
「いっつもいっつもせかさないでよ!!こっちだってそれなりに急いでんの!!」
玄関においてたかばんを取って、
扉をいつもより乱暴に閉めて
ガチャッと鍵をかけた。
「“それなりに”ねぇ~…」
嫌みっぽくそういうと、
タケルはくるっとふり向いて
先を歩いていった。
「もうっちょっと待ってよー!!」
あたしは駆け足でタケルの
元へと急いだ。