深紅の月~江戸時代~
~三年前~
「ありがとうございました!」

店主の声が店の外まで響いていた。

「司君」

「はい」

店主が雇っている司に声をかけた。

「この後の休憩が終わったら本の整理、しといてくれる?それが終わったら帰ってくれていいよ」

「はい」

「もうお客さんも落ち着いたから」

「はい」

そこで、店主は司の顔を覗き込んだ。

「・・・司君?さっきから『はい』しか言ってないけど、大丈夫?」

「はい」

「あはは・・・」

店主、苦笑い・・・


司は休憩の後、本を30分で整理した。

「店主、終わりました」

「え・・・全部?」

「はい」

「早いね~じゃ、もう今日は帰ってくれていいよ。明日もよろしくね」

「はい、失礼します」

と、一日目は何も無く終わったのだが・・・

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