深紅の月~江戸時代~

だが、戦っていた時の記憶と、少し前の記憶は・・・無い。

「・・・何しに出てきたんだっけ?」

踵を返して、もう一度家へ帰った。

ガラガラ・・・

「周助ー、俺って何しに家出たんだっけ?」

その司の言葉に周助は呆れた顔で答えた。

「はぁ!?お前なぁ・・・薬だよ!く・す・り!解った!?お前は薬を買いに行くために家を出たんだ!『俺は薬を買いに行くために家を出ました』はい!復唱!」

「お、俺は薬を買いに行くために家を出ました・・・?」

「は~い、用件はわかりましたか?司君?」

「あ、あぁ」

「よし、じゃあ、行って来い!」

そう周助に言われて、司は家を出た。

「・・・からまれたんですね。記憶飛んじゃってましたから」

「うん・・・そうみたいだ・・・」


しばらくすると、司が帰ってきた。

「・・・薬、買ってきたぞ」

「早っ!」

「薬屋、そんなに遠くないだろ?」

「まぁ、確かに」

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