深紅の月~江戸時代~

突然の痛みに頭がついていかない。
周助は司の存在に気付いていなかった。

当然誰が蹴ったのかもわからない。

周助は蹴った人物を振り返る。

「つ、司!?いつからそこに!?」

「・・・さっきから声をかけていた。気付け、バカ」

「バカって言うなよ!だいたい何でお前が由美香の部屋に・・・」

そこで周助はハッとして、自分の足元を見た。


・・・完全に由美香の部屋に入っている。

「あの・・・周助さん?ここ、私の部屋ですよね?」

周助と司の騒ぎに、目を覚ました由美香がそう言った。

「あ、いや・・・ごめん。勝手に入っちゃ・・・」




「ぃいやああああぁぁぁぁ!!!」




周助によからぬ事をされたと勘違いした由美香が、近所に響き渡る声で絶叫した。



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