深紅の月~江戸時代~

「えぇー・・・もう子供達に司も来るって言っちゃったんだけどー・・・」

「出来もしない約束をするな」

「だって・・・もう皆来ちゃってるんだよ~・・・」

後ろにいる子供達を指差して困った顔で周助はそう言った。

「あ~!周兄ちゃんとつーちゃんだ!」

周助と司に気づいた子供達が手を振りながらとてとて、と歩いてくるその姿はとても可愛らしい。

「つーちゃん・・・!?」

呼ばれたこともないあだ名で呼ばれ、司は有り得ないほど驚いてしまった。

「うん!司って名前なんでしょ?だから、つーちゃんなの!」

一人の小さな女の子がそう言った。

司の隣に立っていた周助が大爆笑しそうなのを堪えて、

「ま・・・まぁ、いいじゃねえか。ぷっ・・・やろうぜ?つーちゃん?」

と言った。
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