深紅の月~江戸時代~
~現在の本屋~

「はぁ、あの時はびっくりしたなぁ」

「あの時・・・ですか?」

「そう、司君が初めてはたきを折った時」

店主は懐かしそうに目を細めた。

「あれが司君の本性だったりして」

店主はふざけて言った。

すると司は手に持っていたはたきを・・・

「え?・・・司君?」

両手で持って・・・

「ちょっと・・・」

バキッ!

折ってしまった。

「あ~あ、ねえ、司君?」

店主が笑顔で司に質問した。

「君、それ何本目か知ってる?」

それまで笑顔だった店主の顔から笑みが消えた。

「10本目だよ!10本目!」

店主はそれまで司に折られてきたはたきを指さして言った。

「どうして折っちゃうの?」

はたきを折った本人は店主の質問に対して

「だって・・・ムカついたからです」
との事・・・

「まぁ、人に被害を出すよりいいけどね・・・」


その時、店の入り口の、のれんをくぐって誰かが入って来た。

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