深紅の月~江戸時代~
二人がそんな事を話していると、台所から大きな物音がした。

ガラガラ!

「由美香?」

司が声をかけると・・・

「痛ッ!」

由美香の小さな悲鳴が聞こえてきた。

「由美香!?どうした!?」

二人があわてて台所へ行ってみると、お皿が3、4舞割れていた。

「いたた・・・」

その中心で由美香は左手を押さえてうずくまっていた。

「由美香!指を怪我したのか?」

周助がそう聞くと由美香は

「だ、大丈夫です・・・」

と、弱弱しい笑みで答えたが、その左手からは、かなりの血が出ていた。

「大丈夫ではないだろう。周助、救急箱だ。俺が皿を拾うから、お前は傷を見てやってくれ」

「あ、ああ。わかった」

司の的確な指示に少し驚きながら、周助は由美香の傷の具合を見た。

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