手の中の蝶々
「意味分かんない事いってないで退いてよ…!」
近い、近い近い近い!!
『嫌だ』
「なんでよ…!?」
先生の腕の間で縮こまる私は、体制とは裏腹に言葉だけは強気で。
即答する先生を睨む。
『だって、夂葉さんが可愛いくて可愛いくて…。
もっとイジメたくなる』
「……っ先生なんか…嫌い…っ!」
反抗して、言ったものの、震える声、体、唇。
力がこもらなくて。
不意に先生の手が髪の毛に触れて、ビクッと肩を震わせる。
『怯えちゃって…』
より縮こまった私に先生は、
『そろそろ認めたら?』
いよいよ止めをさす。
『唇を、声を、体を震わして、感情が溢れだすくらい貴女は僕に溺れてるんだ』
先生が唇に触れるから、ビリビリと、そこから電気が走るようだ。
『僕が好きだって、認めなさい』
先生らしい喋り方でだって、いつもの心地よい声ではなく。
心臓に突き刺さるようで。
それは、多分、声だけのせいじゃない。