手の中の蝶々
私はお荷物だから、お姉ちゃんの生活を思って家を出た。
―――と思っていた。
だけどそれは、自分の何かを否定するための只の言い訳で。
そうじゃないと今の私のこの感情はどうも説明出来ない。
お姉ちゃんの顔を見た瞬間に、込み上げてきて嫌悪感。
憎らしさ、疎ましさ。
確かに感じたんだ。
だからこそ出てしまった言葉達。
お姉ちゃんにあんな顔をさせてしまった言葉達。
結局私は、自分を置き去りにして捨て去ったお姉ちゃんを恨めしく思ってたんだ。
どんなにそれらしい理由を縫い付けたって、引き裂いてでるのは真相だけで。
「何で追い掛けてくるのよ…」
私はこれで良かったのに。
エプロンをつけるだけで許される此処での生活。
お姉ちゃんの存在は、順応し始めた私を、いとも簡単に過去をつっかえ棒にして引き止める。
私は、これでいいの。
先生がいる生活が、いいの。