手の中の蝶々




『ちゃんとお姉さんと会ってきなさい』






それなのに、帰宅した先生に今日の事を話した途端言われたのはこの言葉で。


「なん…で…」


その言葉に私は、意味を勘ぐってしまって。


「先生も、結局そうなんだ」

『夂葉さん…?』

「私って、やっぱり邪魔なんだ」

さっき願ったばかりなのに。

先生がいる生活がいいと、少し素直になれたのに。


「先生は私にお姉ちゃんのとこに帰って欲しい?」

『そうじゃなくて…!』

「そういう事じゃない!」


慌てて弁解しようとする先生がなんだか白々しく見えて。

全部が嘘に見える。


宥めるような瞳、必死な仕草


全てが大事にはしたくない故の偽りに見えて。



「もういい」



私は家を飛び足した。


『夂葉さ……!』

「来ないで」


行くあてもないのに。



いつも強がってばかりで。




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