手の中の蝶々


やっぱこいつ…っ!!




こたつから立ち上がってニヤリと笑った先生を見て、


あぁ、もう起訴だな


と思った瞬間。



私の目の前は真っ白に覆われた。



「なっ!」


目隠し!?!?
それってヤバいよね!


先生そういう趣味??



だとかその他諸々いっぱい思ったけど真実は………



「エ、エプロン…?」


『はいっ、桜木さんお料理できます?』


手でつかんだ真っ白の正体は、白いエプロン。



「姉と2人の生活で、料理は私担当だったから出来ますけど…。


なんでこんなモン持ってるんですか…?」


あっちの趣味じゃなくてこっちの趣味?

……女装………とか?




………キモいんだけど!




『あ、今、女装かよキモい。とか思いましたね?』


「あ…いや、その」


なんで分かったの!?


怖いよ先生!



『違いますからね?只お嫁さんがこういうの着てたら可愛いな、って思ってたら買っちゃったんです』



うん、それでも充分コワい。



「でもお嫁さんって…。そんなの着ていいんですか?」


『スウェットじゃ若干萎えますけど…、まぁいいですよ』




俯いてズレた眼鏡を、元の位置に直して、ニッコリ笑う先生。



…私が聞いたのはそういう意味じゃないんですけど。





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