手の中の蝶々


先生が、私を好き






先生 が 私 を



え?


 私 が 先生 を


じゃなくて?


「う…嘘だ…!!」


こんがらがって接続ミスした私の脳内回路は、遂に考える事を放棄してしまったようで。


『嘘だと思う?』

耳に息がかかる。
その度に私は肩を竦ませて。


この状況で、嘘を言うわけがない。

と言うことはつまり、


本当の本当の本当の本当に、

先生は私が好きなのか。



なんの冗談でもなく…。



「…私も好き」

気負いも何もなく、現実を把握したら自然と零れ出た言葉。


早く伝えたいって思ったんだ。


こんなに嬉しい気持ちを、早く先生にも分かって欲しくて。

好きな人に好きと言われる幸せ。

『今更だね』

「はぁっ?」


なのに、先生は余裕の言葉で。


『だって、夂葉さんダダ漏れなんだもん』

くすりと笑う先生に、私はドキドキしてしまうばかりなのに。


「…先生の馬鹿…!もういいもん!」

人がせっかく一大決心のもと、愛の言葉を引っ提げてやってきたと言うのに、逆に先を越されてしまって、おまけに全然嬉しくなさそうだし。


『…ごめん、だって…余裕ぶっとかないと格好悪くてさ』


照れくさそうに笑った先生は、私の頭を掴んで自分の心臓辺りに耳をつけるように、押しつけた。



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