手の中の蝶々


「そ、そんなに見られたら緊張するんですけど…」


今台所に立って料理をしてるわけなんだけど…



先生がこたつで寝っ転びながら凝視してくる。




『やっぱスウェットにエプロンは………』


しかも何かブツブツ呟いている。


『次は制服にエプロンにしましょう!女子高生奥さん!!いいですね〜』

「ぅ危っ!」



先生が急にそんな事言うから危うく持っていたお鍋を落としそうになってしまった。



「……先生そんな人でしたっけ」

私の中のイメージは、普通……ていうか寧ろ普通よりちょっと地味めなイメージなんだけど…。


『…こんなんなつもりですけど…。桜木さんは授業以外寝てますもんね?僕だって授業中は授業してますから……』


え、あぁ…まぁ確かに授業中以外は寝てる。
バイト掛け持ちしてるし、…眠くて。


『でも授業中に寝ないのは良いことですね』



だって…、高校に来てる以上は授業はちゃんと起きてなきゃ、と思ってるし。




それに……



「先生の授業面白いし……?」


最後にハテナマークをつけてしまう所に私の完全に素直に言えない性格が滲み出てる。





『………』


「って何赤くなってるんですか!」


せ、先生が赤面してる!


『…桜木さんみたいな生徒に言われると嬉しいんです!ほら、お世辞とか言わないでしょう?』


照れながらちょっと強がり気味に言う先生。







…なんか今心臓痛かったんだけど!

何これ…っ。



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