手の中の蝶々
只のあだ名?
『お前まじで一回死んどくか』
にしては先生の様子が可笑しい。
『えっ何?言ってないの?』
何を言ってないのか分からないけど、先生の口からボスなんて言葉聞いた事がない。
「教えて先生、気になる」
『聞かなくていい聞かなくていい。はい、夂葉さんは部屋に戻ろうね〜』
私が詰め寄ると、先生は私の肩をがっしり掴んで方向転換さし、リビングに押し入れようとする。
これは絶対、何かあるな。
確信を得て、聞かずにはいられない。
「まさか学生時代ボスでしたー、なんて言わないよね」
流石に安易過ぎるか。と思ったこの予想。
だから、ちょっと反応を確かめるためだったのに。
『『………』』
「え?何その反応」
私の言葉に気まずそうに視線を反らす2人は怪し過ぎる。
まさかまさかまさかまさか
「先生ってば“悪”とか言う奴だったりしたの!?」
だとしたらかなり意外だ。
地味眼鏡なのに。
……でも待てよ…。
度重なる先生の変貌ぶりからして………、
十分にあり得る。