手の中の蝶々
「私はご飯食べます!先生は食べなくてもいいですけどね!」
『スミマセン、スミマセン!食べさして下さい!』
私がプイと外方を向いて拗ねると、先生は少し大袈裟に焦って、こたつから這い出て頭を下げた。
『…い、いですか?』
先生は下げている頭を少しだけ上げて上目遣いに片目だけを開けて、私の表情を確認する。
何よ…、
先生幾つ表情持ってんの?
「……じゃあ………っ参拝!」
『え?』
私が両手を合わせる仕草を見せると先生も慌てて真似をした。
「『いただきます』」
『…桜木さんはせっかちですね〜』
クスクス笑いながらお箸を手にとる先生。
確かにせっかちだった。
…まだ机に料理置いてなかった!
「先生の冷蔵庫極貧すぎです!
こんな物しか作れなかったじゃないですか」
『……いや、これだけで充分すぎます。テクニシャンですねぇ』
先生は真面目に感心している。
『食べていいですか?』
「どうぞ」