手の中の蝶々



失敗…してないかな…?






先生は料理を口に運んだ。

『……桜木さん』


「はい!」



低い声で私の名前を呼ぶ先生。


怖い!私なんか変な物いれた!?



『…僕のお嫁さんになりません?』

「は…はぁ?」


私の心配した気力を返しやがれ!


『だって!桜木さんのお料理美味しすぎます!


僕の胃袋掴んじゃいましたね!』

弾んだ調子で、私に親指を立ててウインクする先生。



わぁ、胃袋掴んじゃったみたい。





「光栄です……?」


『これからはこの料理が毎日食べられる僕はなんて幸せなんでしょう!』


そんなに言われたら照れる。








それに、その言葉は、私がこれから毎日ここにいていいという意味もある言葉。



先生がその意味も含めて言ったかは分からないけど。




『桜木さんも食べましょうよー』

「はい、いただきます」





そう言えば誰かと食卓を囲むなんて久しぶりだ。



お姉ちゃんは帰ってくるのが遅かったから食べる時間はバラバラだった。





だから、会話が凄く嬉しい。




< 17 / 145 >

この作品をシェア

pagetop